鞭虫は鞭(むち)のような形をした寄生虫です。回虫と同じく多くの犬に寄生しています。
鞭虫が大量に寄生すると、消化器にさまざまな症状が起こります。また、ほかの寄生虫との混合感染になると重症化するので発見したらすぐに駆虫しなければなりません。
原因
すでに感染している犬の糞便中に排出された鞭虫の卵が、何らかの理由で口から入ることによって感染します。卵は、犬の体内に侵入すると小腸で孵化し、消化器官を経て盲腸に寄生します。
体内で成長した鞭虫のメスは盲腸で卵を産みます。この卵は便と一緒に体外に排出されて新たな宿主を待つことになります。
症状
寄生するベン中の数が少なければ、特に目立った症状は現れません。しかし、寄生する数が大量になってくると下痢便になったり、排便のあとに血の混じったドロリとした粘液が出ることもあります。
食欲がなくなり、お腹を痛がるようになることもあります。排便の姿勢をとりながら、便が出ない「しぶり腹」の状態になったら危険です。
さらに、寄生する鞭虫に栄養を奪われたり、胃腸の状態が悪くなるため、やせて衰弱してきます。毛艶も悪くなってきます。貧血や下痢で脱水症状にもなり元気がなくなります。鞭虫以外の寄生虫と混合感染していると重症化しやすいので、こうした症状に気付いたら、すぐに獣医さんに診てもらいましょう。
治療・予防
便の中に成虫が混じっていて、寄生虫の存在を知ることがあります。こうした時、市販の駆虫薬を使って自分の手で処理しようと思ってはいけません。
駆虫薬は寄生虫にあったものを、決まった期間使うことが大切です。検便をせずに勝手に駆虫薬を使っても効果がないことがあります。
獣医師によって正しく処方された駆虫薬を使えば、1~3回の投与で駆除できます。その後、検査を受けて、完全に駆除できたか確認することが大事です。症状が重い場合には下痢止めや整腸剤、栄養補給なども必要になります。
食餌には消化がよくて高タンパクのものを与えるようにします。獣医師のすすめる処方食などがあればなお安心です。
再発防止のためのポイント
- 他にも犬や猫などを飼っている場合は隔離する
- 糞便はすみやかに処理し、犬舎や敷物などを清潔に保つ
- 人間にも感染するので、便などは直接手に触れない
- 鞭虫の卵は高温・乾燥に弱いので、犬が使うものは定期的に日に当てて日光消毒する
- 気づかない感染源などが存在する可能があるため、散歩の経路などを見直してみる
- 年に1度は便の検査を受ける
- 交配予定日の前に検査を受け、感染していたらまずは駆虫し、その後妊娠させる
などです。