人間の子供と同じように、遊びによって好奇心を満たすことは、子犬が成長する過程でとても大切なことです。生まれて初めて見るものや初めて触るもの、時には痛い目にあいながらも、遊びの中から兄弟犬や母犬と関係、あるいは人間との関係を学んでいきます。
道具を使った遊びもどんどんやらせて結構です。
ボール、ぬいぐるみ、フリスビー、どんなおもちゃでも子犬は喜んで遊びます。
ただし、重要なのは、いっしょに遊んだおもちゃを与えたまま放置しないということです。
子犬はどんなものでもおもちゃにしてしまうことができます。
たとえばタオル。
「椅子に掛けておいたタオルを子犬が引きずり下ろして遊んでいるようなとき、取り上げようとしてタオルを引っ張ると、子犬は遊んでもらっていると勘違いして、グイグイと引っ張ってきたのでそのまま遊んでやることになった。そしてその日からタオルは子犬のおもちゃになってしまった。」
これは私の経験ですが、似たような経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
このとき、もしも飼い主であるあなたがタオルを手放して子犬に渡してしまったら、子犬は自分があなたより“上位”に立ったと思うことになります。
その結果、権勢本能が芽生え、やがては飼い主の言うことを聞かずに問題行動を起こす犬になってしまうのです。
ものを奪い合うという行為は、群れの中での序列を決める行為なのです。
犬の社会には、横並びの関係というものがありません。
それは、生まれた時から本能として犬が持っているものです。
仮に5匹の兄弟が生まれたとしたら、生後1ヶ月も経たないうちにこの5匹には1番から5番までの序列が付くことになります。
人間の目には、仲の良い兄弟のじゃれあいのように見えている子犬同士の遊びも、実際には兄弟の序列をつける戦いでもあるのです。
おもちゃは与えっぱなしにせず、使い終わったら取り上げて片付けておく。
従順で素直な犬に育てるために、このことを徹底しましょう。