原因
骨と骨をつなぐ役目を持っているのが靭帯です。
膝関節にあって十字に交差している靭帯の1本が前十字靭帯です。
前十字靭帯は、大腿骨の後方から脛骨の前方に向かって斜めに交差し
大腿骨と脛骨をつないで固定しています。
靭帯は帯状の線維の束で、とても丈夫なものですが、
過度の力が加わると断裂したり損傷したりすることがあります。
前十字靭帯の断裂になりやすいのは股関節が脱臼しやすい犬です。
また、肥満でいつも膝関節に負荷がかかっていたり、
老化によって靭帯が弱くなっている犬にも起こりやすいものです。
室内で飼われている4歳以上の小型犬などは特に注意が必要です。
症状
膝の前十字靭帯が断裂すると、忠義のような症状が現れます。
- 後ろ脚に体重をかけられず、脚を引きずって歩く。
- 断裂の起きた脚を持ち上げ、3本の脚で歩く。
- 脚を伸ばそうとすると嫌がる。
- 膝の周辺が熱を持って腫れる。
このような症状が、断裂してすぐに現れるのですが、
2~3日が経過すると関節が安定するため一見治ったように見えます。
しかし、断裂した靭帯が自然にくっつくことはないので、
決して放置せずに獣医さんに診てもらいましょう。
放置したまま症状が進むと、やがて膝関節が変形します。
そうなると歩行異常が生涯残ることになってしまいます。
治療と予防
先に挙げたような症状に気づいたときは、なるべく早く
遅くとも2~3日以内には動物病院で診察を受けてください。
病院に連れて行くまでは、ケージなどに入れて動き回らせばないこも必要です。
人体の断裂が部分的であった場合や、小型犬の場合には
手術をせずに自然治癒を待つケースもあります。
痛み止めの薬を使いながらギプスで関節を固定し、安静を保ちます。
固定することにより、靭帯の周囲の組織が十字靭帯の役割を補うようになります。
一方、中型犬・大型犬の場合や、小型犬でも靭帯が完全に断裂しているときは
手術が行われます。
手術では大腿筋膜、あるいは大腿筋膜と膝蓋腔の一部を移植したり、人口靭帯を使うことで断裂した靭帯を再建します。
手術後の注意事項しては、反対側の脚のケアです。
靭帯を断裂した脚をかばうことで、もう一方の脚に負担がかかり反対側の脚の靭帯まで断裂するケースが多いのです。
再発の防止には、運動制限と体重のコントロールが大切です。
一度人体の断裂が起こってしまうと、激しい運動ができないため、運動による減量は困難になります。肥満している犬の減量は食事制限によって行わなければなりません。
予防のためには子犬の頃から、肥満にならないよう注意することが大切です。
適度な運動で関節や筋肉が鍛えられることによって、人体断裂も起こりにくくなります。