腎臓に炎症が起こり、機能が低下します。症状わかりにくいので、日頃から尿の色などを観察しておくことが大切です。
原因
さまざまな原因がもとで腎炎は起こります。
- アデノウィルスや連鎖球菌などの細菌、ウィルスや真菌(カビ)などの感染
- 子宮蓄膿症
- いぬ糸状虫症
- 毒性のある物質に対する中毒
- 糖尿病
これらが原因となって急性腎炎になると、腎臓の機能に障害が生じます。血液中の老廃物を濾過し、尿を作る機能だけでなく、体内の水分調整などの機能も低下してしまいます。腎臓の炎症が治まらずに、1年以上続くようだと、慢性腎炎に移行します。
慢性腎炎は高齢犬に多く見られる病気です。原因ははっきりとは解明されておらず、老化による腎臓の機能低下がひとつの要因と言われています。
慢性腎炎になりやすい高齢犬の場合はとくに、おしっこの状態などを普段から気をつけてチェックしていることが大切です。
症状
急性腎炎
急性腎炎では、尿の異常として次のような症状が見られます。
- 尿の量が少なくなる
- 尿の色が濃くなる
- 血尿が出る
これらの他にも、痛みがあるため、腎臓付近のおなかを触られることを嫌がります。また、なかなか気づきにくいことですが、全身にむくみが起こっていることもあります。
病状が進行すると、尿量は次第に増えていきます。腎臓の機能がさに低下して腎不全におちいると、嘔吐や、眼球が小刻みに揺れたり、歩き方がヨロヨロしてくるなどの神経症状が現れます。吐血したり、口からアンモニア臭がすることもあります。最悪の場合、死に至ることもあるので注意が必要です。
慢性腎炎
慢性腎炎では、特に目立った症状が現れません。知らないうちに慢性化していて、尿検査で偶然発見されることが多い病気です。
しかし、慢性腎炎から腎不全にまで進行すると、さまざまな症状が出てきます。食欲不振、やせる、元気がない、大量の水を飲む、尿が大量に出る。口中のただれ、口の粘膜が白っぽくなる、などの症状が現れます。
治療
腎炎には、根本的に治すための決定的な治療法がありません。したがって、腎不全に移行しないように、点滴や食事療法で腎臓の機能をできるだけ助けていく処置が、治療の中心になります。
成分が体液の近い輸液や栄養素を点滴し、体内の水分調節をしたり、尿の量を増やして血液中の老廃物を尿として排出させます。重症になれば、人工透析が必要になることもあります。
食事療法がとても重要です。塩分を大幅に制限しなければならないため、獣医師のすすめる療法食を与えるのが安心です。
急性腎炎の場合は、細菌やウィルスの感染がおもな原因になるため、混合ワクチンを接種して予防することが欠かせません。
また、日頃から愛犬の尿の状態を観察し、色、量、回数などに異常が出た場合に、すぐに気づけるようにしておきたいものですね。