股関節形成不全にかかりやすいには、大型犬や急激に体重の増加した犬です。症状が進行すると、最悪の場合寝たきりになることもあるので、早期に発見して治療を行う必要があります。
原因
犬の股関節は、正常な状態では、大腿骨の骨頭は寛骨臼とよばれる骨盤のへこんだ部分にしっかりとはまっています。
ところが股関節形成不全では、寛骨臼が浅かったり大腿骨骨頭の形が歪んでいるなどの理由で、うまくかみ合わない状態になっています。
かみ合わせがさらに悪くなると、股関節脱臼になることもあります。
原因の7割が遺伝的なもの、残りの3割は肥満による体重増加や筋肉の未発達です。それゆえ股関節形成不全は体重の重い大型犬に多く見られます。
股関節形成不全は、まれに片方の関節だけに起こることもありますが、大抵は両方の関節に起こります。
症状
多くの場合、生後5~10ヶ月の成長期や太りだした時期に症状が現れます。
以下のような症状が当てはまるときは、まず、足に傷などを負っていないか調べましょう。
- 走るとき、後ろの両足を同時に動かし、うさぎ跳びのようになる
- 歩き方が内股で不安定
- 腰を左右に振って歩く
- 動くのを嫌がり、座り込んでしまう
- スムーズに立ち上がることができない
- 階段の昇り降りをいやがる
足の裏に傷がないか、腫れなどがないかを調べて異常がない場合は股関節の異常が疑われます。
治療せずに放置してしまうと症状が進行し、最終的には寝たきりになることもあります。歩き方がおかしいと感じられたら、早めに獣医さんに診せましょう。
治療
症状が軽ければ、運動制限と体重のコントロールを行い様子を見ます。
痛みどめや関節の炎症を抑える薬を必要に応じて投与します。肥満している大型犬の場合、体重を落とすことで関節への負担は大きく軽減されます。
減量するだけでは症状が改善されない場合、手術によって大腿骨骨頭と骨盤を結びつける恥骨筋の切除をします。恥骨筋の切除で痛みを抑えることができます。それでもさらに痛みが続くようであれば、大腿骨骨頭を切除して関節の形を整える手術が必要になります。
手術後は歩行訓練から始め、歩く距離を少しづつ伸ばしていきます。走らせたり激しい運動をさせたりしてはいけません。
予防
再発予防には、運動を控えめにして、食事制限などで体重をコントロールする必要があります。適度な散歩などの軽い運動を続けながら、脂肪の摂取を抑え、カロリーを落とします。