犬のしつけも人間のしつけも基本は同じ。叱ってばかりではいじけてしまい、ほめてばかりでも甘やかしになって結局は言うことを聞かない子になってしまします。
愛情をもって接しながら叱るときは叱り、その代り、ほめるべき時には叱るときの何倍ものゼスチャーを使ってほめてあげましょう。
犬は人間のことばは理解できませんが、あなたの態度や動作、声の調子を覚えることで恭順の意思を示そうとするのです。
悪さや粗相をしてしまった時のあなたの態度。よいことをした時のあなたの態度。
同じことをした時に同じ態度や動作、声の調子で接することにより、犬は条件反射として良いこと(ほめられること)と悪いこと(叱られること)を覚えていきます。
「ほめる」と「叱る」のバランスは9対1が理想です。
「叱られることもあるけれど、自分はいつでも愛されているんだ」 そう自覚させることが大切です。
犬によって、覚えの早い子もいれば遅い子もいます。あなたのワンちゃんの物覚えが遅いと感じても決して焦らないでください。根気よく繰り返せば大丈夫。
犬はみんな『やればできる子』
そして、『ほめられて伸びるタイプ』なんです。
「声符」と「視符」
犬には人間に対する服従心と優れた記憶力があります。この二つの特徴をうまく使ってしつけを行います。
ポイントは「ほめる」と「叱る」をはっきりと区別することです。この二つが曖昧だと犬は混乱し「良いこと」「悪いこと」の判断ができなくなってしまいます。
犬への意思伝達の方法には「声符」と「視符」があります。
「声符」は声でわからせること、『イケナイ』『ヨシヨシ』など。「視符」は見てわからせること、手や身振りを使った命令などです。
特に家庭で飼う場合には「声符」と「視符」は統一しておく必要があります。たとえばその場で座らせるときの「声符」が『すわれ』なのか『シット』なのかなどです。
犬が人間の命令に従うのは言葉を理解してではなく、同じ言葉(声符)や手ぶり(視符)による自分の行動がもたらす快と不快を経験として覚えるからです。
一つの行動が一つの結果に結びつくことを理解させるために、飼い主であるあなたや家族の態度や言葉もかならず統一されている必要があるのです。
しつけのポイント
- かならず目を見て
「ほめる」ときも「叱る」ときも、しっかりと犬の目を見てこちらの意思を伝えましょう。また。名前を呼ぶときや命令を下すときは優しい笑顔で目を見ながらがポイントです。
- 「叱る」ときは現行犯が基本
「叱る」ときはいけないことをしたその場でタイミングを逃さずに叱ります。
外出先から戻ってきたら部屋が荒らされていた。こんな時に大きな声で叱りつけても犬には何の事だかわかりません。
- 体罰は厳禁
体罰は飼い主に対する怯えや不信感を植え付けることになり、ゆがんだ性格の犬になってしまいます。犬にとってのもっとも利き目のある罰は体罰ではなく、飼い主であるあなたに無視されることです。
やめさせたい犬の行動には「体罰」ではなく「無視」することをうまく使っていきましょう。